今春大学卒業予定者の就職内定率は80・5%(昨年12月1日時点)で、5年ぶりに前年を下回りました。平均で1・1ポイントの減(男子1・4ポイント減、女子0・9ポイント減)。ところが、北海道・東北地区は5・3ポイント、近畿地区は3ポイントも減るなど、地域によってかなりの差があります。また、短大生の内定率は56・9%と3・8ポイント、専修学校は63・1%と5・7ポイントも減るなど不利になっています。
 ここ数カ月でさらに内定が取り消される学生が増えることが懸念される中、卒業要件を満たしていながら就職留年する学生に対し、授業料を減額する私立大学もでてきました。ショックを受けている学生に対し、経済的負担の軽減や、新たな就職活動の支援になるでしょう。
 不景気になると注目されるのが公務員。特に女子は頑張っています。今年度の国家公務員1種試験合格者の女子比率は2割近くに増え、過去最高でした。公務員は国家公務員試験と地方公務員試験があり、地方公務員に消防・警察も含まれます。警察官は都道府県単位で採用され、消防官は、東京消防庁が一括採用する東京都を除き、一般的には市町村単位です。
 この冬から公務員試験対策をとっている専門学校の受講生は増加中です。先月、ある県で開かれた警察官採用説明会は前年の3倍の学生が参加しました。昨年末に追加実施した県警察試験には31人の募集に359人もの応募が殺到。昨年度に比べて人数は倍以上に増えています。
 景気が悪化すれば治安の悪化も懸念されます。金融危機で崩壊した経済を目の当たりにして若者はどう考えるのでしょうか。拝金主義的な思想を美とする時代から、社会への奉仕、社会に役に立つことをしたいと望む人が増える時代になることを望みます。
 
(生活経済ジャーナリスト・嘉悦大学短期大学部准教授)