「やりたい仕事はこの仕事ではない。入社時と話が違う」「こんな仕事させられるとは聞いてなかった」
 私も何度となくこんな気持ちになったことがあります。でも実は、職業人の大半がこんな気持ちで仕事をしているのではないでしょうか? 特に年齢が重なると、異動や転職など挑戦することよりも安定性を求めるようになります。
 そう簡単に転職ばかりするわけにもいかない。だからといってこのままでは本当にやりたかった仕事をやらせてもらえない。そんなもんもんとした気持ちだから仕事もスムーズにいくはずがありません。悪循環だけが時間とともに過ぎていきます。
 このように同じ仕事をしていても楽しそうしている人がいるかと思うと、つまらなそうに仕事をしている人がいるのは、それなりに自分で計画=イメージしていたキャリアアップの計画が崩れたからです。
 営業部から企画部へ異動が成功した知人がいます。「私が勉強してきたことは企画分野。面接では企画を担当させてくれるといいました。私ならもっと斬新な企画ができます」と、他人を責め、表面的な意見だけではダメ。知人は営業の仕事で評価され、なおかつ評価される企画書を作成したのです。
 自社の業績の現状分析と10年後の予想、さらに同分野で最先端の米国の特徴を日本と比較、それらを視野に分析。今後の傾向と注意点から自分しかできない営業から見た企画案を提出しました。勤務中ではなく、週末や深夜など自分の時間に作成したことで熱意を見せました。
 個人の業務効率は、少なからず会社の業績にも影響します。「自分が我慢してこの仕事を続ければ…」という考え方は日本人に多いですが、被害者は自分だけではありません。会社だって上司だって、勇気ある行動でイキイキ働いてくれる人が増えるとうれしいはずです。
(生活経済ジャーナリスト・嘉悦大学短期大学部准教授)