本土市場上場で下落を抑制?!
ペトロチャイナの上場で上海市場を安定化へ
 中国株が世界中から注目される中、株価はいつ下落してもおかしくない状況である。
 そこで6 月上旬には温家宝など中国の首脳などが集まって、過熱する中国株をどう抑制したらいいのか、考えた。
 そこで現在、香港市場で上場している大手企業を中国本土でも上場させることを思いついたのだ。
 まず、中国石油天然気集団(CNPC)傘下にある、「中国石油天然気(ペトロチャイナ)・0857]である。中国三大石油会社であり、世界的にも有名である。時価総額も大きく、その規模はトヨタ自動車と同じくらいである。
 加えて、原油の高騰にともない業績もいい。06 年12 月期業績は、売上高が前期比約25%増、純利益も同約7%増加し、過去最高益を記録している。「川上」事業は、原油産出量は微増だが、天然ガス産出量は同23%増と大幅増。「川下」の石油精製・販売部門の部門売上高は前期比27%増で好調だ。
 そのペトロチャイナが、董事会会議で、株主の承認後にA株の上場申請を提出することを決定したと発表した。40 億株を発行し上海証券取引所のA株に上場する。最大40 億株の新株を公開することで、株数を増やせば、一株あたりの利益が減ることも予想される。
 A株公開後、H株の発行済み株式に占める割合は11.79%から11.53%に縮小するが、調達した資金は、ガスパイプラインの各事業や海外資産の買収に充てる予定である。資源の獲得のためには政府は力を入れているため、今回の動きにもマイナスになるようなことはしないだろう。
中国電信、神華能源も上場
 同じように香港市場に上場している中国電信(チャイナテレコム・0728)と神華能源(シェンファエナジー・1088)も本土市場に上場する。
 A株発行案が国務院を通過したことで、今後のスケジュールが注目されている。
 そのほか、中国建設銀行や石炭関連の企業も本土上場が見込まれている。
 中国建設銀行は、06 年12 月期の売上高が前期比約18%増で純利益は同1.6%減と最終減益を計上した。05 年10 月香港市場H 株に上場したことで注目を集めた。このときの再編にむけての優遇税制措置が05 年6 月で完了したことで税負担が大幅に増えたことが減益要因となっている。香港に上場したばかりの建設銀行は、すぐに上海市場での上場には懸念を示してはいるが、今後、本当に上場されればさらに注目が集まる。
 時価総額の大きい企業が、香港市場から世界に注目されて下落が予測されている上海市場にも上場されれば大きな株価下落は避けられるという計算である。
 9月には党大会が行われる。その前に株価が暴落してもらっては、困る。人事に影響が及ぼされては大変なことになるーといった思惑がある。
 しかしながら、同時に海外からの企業の受け入れ体制も整えるなければならない。段階的に100%の参入が認可される。効率の悪い国有企業は淘汰されることになる。政府が管理する約150 社の国有企業を半分に減らさなければならない。再編の波が押し寄せる中で、優良企業のみが残ることになる。
 グリーンスパーン前FRB 議長が、過熱気味の中国株への懸念を示すなか、5 月の米中経済戦略対話で、本土市場における海外機関投資家に対する規制緩和、つまりQFII(適格海外機関投資家)の投資限度枠を100 億米ドルから300 億米ドルに引き上げると発表しました。
 岡三証券証券情報部アジア情報室紀幸孝氏は「今回の米中経済戦略対話で、投資限度額の拡大は確認されたが、増加させた投資限度枠を、どの機関投資家が与えられるかはまだ決定していない。そして、秋には5 年に一度の一大イベントである共産党大会が控えている。
 中国当局としては穏やかな株式市場の発展を望んでいる。
 このため、中国当局は本土市場に対する過熱抑制策の姿勢が継続されているなか、今回のQFII投資限度枠の拡大は、本土市場が急落した場合の株価浮揚策としての布石と捉えられるであろう。
 人民元問題に関しては、人民元高のトレンドは当面継続する。
 また、人民元改革の加速を要求する外圧に対しては、中国当局は輸出付加価値税の還付率の引き下げなど譲歩策に動くこともあるかもしれないが、当面は大幅な改革は考えにくい」という。
今月のひとこと
 毎年7月は天井からしだいに下落するサイクルに入ります。配当金がもらえるのが5月から7月にかけてです。配当をもらったら売るのが投資家の傾向です。党大会で下落させたくない政府と、いつもどおり売りたい投資家は売るのをとどまるのか注目です。
 これから始めて投資を考えている方は、株価が下落したとき、党大以降が注目かもしれません。
 私は8月は1ヶ月上海にいます。株価の動きや投資家の傾向など、できる限り毎日ブログで現地からお送りしますね。